コンサルティング

 専門知識を活用し、客観的に現状の業務を観察し問題点を指摘し、原因を分析し解決策を提示して業務の効率化を図り、企業の発展を助ける仕事をコンサルティングといいます。

 それではIT業界のコンサルティングの仕事について説明します。 

ITコーディネータの仕事

 経営戦略とIT活用の融合を目指す仕事

 特定非営利活動法人のITコーディネータ協会が実施する「ITコーディネータ試験」に合格し、15日間の「ITコーディネータ資格認定用ケース研修」を修了した人がITコーディネータとして認定されます。ITコーディネータは「経営とITの両面に精通したプロフェッショナル」として、企業の経営戦略策定に助言し、“本当に役に立つ”IT導入を目指しています。

 活動範囲は(1)経営戦略策定、(2)IT戦略策定、(3)IT資源調達、(4)IT導入、(5)ITサービス活用などです。ITコーディネータ資格認定用ケース研修では、これらの活動をロールプレイやグループ討論を通して擬似体験します。

必要なスキル
・ ITコーディネータ資格 認定試験
筆記試験と15日間のケース研修を通して学ぶ内容は、ITコーディネータとして必須の知識。

・経営に関する知識
顧客企業が抱える経営問題を理解し、解決するために不可欠。

・信頼を得るコミュニケーションスキル
顧客との間に、経営問題を率直に議論し合えるような信頼関係を築きあげないと、問題の本質にたどり着けない。

パッケージ導入コンサルタントの仕事

 業務パッケージを使って会社を変える仕事

 業務パッケージはインストールするだけでは使えません。各種パラメータの設定やアドオンプログラムの開発が必要になります。

 パッケージ導入コンサルタントは、どのようにすれば顧客の業務改革に貢献できるかを考えて、最適解を提案します。また、パッケージ導入には最適な手順が用意されており、そのノウハウを駆使して、スムーズなシステム稼働の開始を支援します。

必要なスキル

・ コンサルティング技法 分析力、問題解決力。

・聞く、話す、書くなど。
外国人とのビジネスの成功は円滑な人間関係に負うところが大きい。 思い切りのよさ 未知の製品を契約する際には常に不安がつきまとう。そこを乗り切る勇気が必要。

・マネジメントのスキル
作業計画、作業管理、課題管理、品質管理、リスク管理、予算管理など。

・ITスキル 業務
プロセス設計、パッケージの仕組み、設計/開発のスキルなど。

ITコンサルタントの仕事

 戦略実現やITへの投資判断を支援する仕事

 経済産業省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」によれば、ITコンサルタントは「コンサルタント」という職種名で、次のように仕事が定義されています。

 「知的資産、コンサルティングメソドロジを活用し、顧客の経営戦略やビジネス戦略及びIT戦略策定へのカウンセリング、提言、助言の実施を通じて、顧客のビジネス戦略やビジョンの実現、課題解決に貢献し、IT投資の経営判断を支援する。提言がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性等に責任を持つ。IT投資の局面においては、経営戦略策定(目標及びビジョンの策定、ビジネス戦略策定)及び戦略的情報化企画(課題整理及び分析[ビジネス及びIT])を主な活動領域とする」。

必要なスキル
・コミュニケーションスキル
顧客企業の要望を的確に引き出したり、提案内容との合意点を見いだしたりするうえで不可欠。

・自分ならではの専門知識/スキル
業務知識でも業界知識でも、自分が仕事を任されたら必ず力を発揮できるものを見つけることが重要。

・ITスキル
タイムリーな情報収集が重要。ただし、ITはあくまでもツールであり、業務に裏打ちされた理解が必要。

セキュリティコンサルタントの仕事

 セキュリティ対策を具体的にアドバイスする細かい仕事

 情報システムのセキュリティ対策に関して、さまざまな角度からアドバイスしたり支援をいます。企業のセキュリティポリシー策定を支援するような大きな仕事から、各種セキュリティ製品のパラメータ値をどう設定すべきかを具体的にアドバイスするような細かい仕事まであります。

 また、企業システムを外部から擬似的に攻撃する「ペネトレーションテスト」を実施する仕事もあります。

必要なスキル
・ ITに関する幅広い知識
セキュリティは、OS、アプリケーション、ネットワークなど、コンピュータシステム全般にかかわる。幅広いITの知識が必要。

・英語力
最新のセキュリティ情報はほとんどが海外発のため、英語力は必須。

・コミュニケーションスキル
コンサルテーションでは、顧客の課題を的確に把握し、解決策を提示していかなければならない。コミュニケーションスキルは非常に重要。

・セキュリティに関する資格
取得するのが望ましい資格は、情報セキュリティスペシャリスト試験(テクニカルエンジニア試験の情報セキュリティと、情報セキュリティアドミニストレータ試験を統合して2009年度から実施)や、米国のCISSP(Certified Information Systems Security Professional)など。

経営コンサルタントの仕事

 企業経営課題の解決策を見つける仕事

 企業経営に関するコンサルタント。企業のトップから依頼を受けて、経営課題を明確にし解決策を見つけます。企業の成長戦略、グループ再編、M&A、R&D、マーケティング/セールス、組織/人事、業務改革、ITなど、コンサルティングの対象となる分野は幅広いです。

 企業の経営戦略全般に対して創造的問題解決を提供するのが戦略系経営コンサルティングファームです。戦略系経営コンサルティングファーム出身の企業経営者も多いです。

必要なスキル
・ 論理的思考能力
自分が話していて「なぜそうなる?」と訊かれたときに、その場で論理的に答えられるスキルが必要。自分の言ったことにアカウンタビリティ(説明責任)を持つ姿勢とも言える。

・チームワーク
与えられたことはきちんとやる。そのうえで、共同で作業できる必要がある。 自分自身の成長への意欲 常に成長する意欲を持っていなければ、経営コンサルタントの仕事は続けられない。

SEOコンサルタントの仕事

 SEOをサービスとして提供 する仕事

 SEO(Serch Engine Organization)は、企業のホームページや商品紹介のサイトを、GoogleやYahoo!などの検索エンジンのキーワード検索結果の上位に表示させる技術です。これをサービスとして顧客企業に提供するのが、SEOコンサルタントです。上位に表示することで、Webサイトへのアクセス数を増やし、顧客のビジネス拡大につながります。

 SEOとしては、適切なキーワードを選ぶ、WebページのHTMLにキーワードを適切に埋め込む、有力なWebサイトと相互にリンクを張る、サイトマップを作る、など様々なテクニックがあります。

必要なスキル
・Web制作の知識とスキル
SEO対策とWeb制作は切り離せない分野。このため、HTMLやWebページのレイアウトを定義するCSS(Cascading Style Sheets)などのWeb制作全般の知識とスキルが求められる。

・コミュニケーションスキル
顧客の要望を正しく聞くためにコミュニケーションスキルは必須。営業に同行して顧客を説得する機会も多い。

システム監査人の仕事

 ITガバナンスの実現をする仕事

 経済産業省のシステム監査基準(2004年改訂)によれば、システム監査とは「組織体の情報システムにまつわるリスクに対するコントロールがリスクアセスメントに基づいて適切に整備・運用されているかを、独立かつ専門的な立場のシステム監査人が検証又は評価することによって、保証を与えあるいは助言を行い、もってITガバナンスの実現に寄与すること」を目的とする仕事です。

必要なスキル
・ システム開発の経験/スキル
開発経験を通じて、なぜこのシステムが必要なのか、経営にどう役立つのか、を理解できることが重要。

・コミュニケーションスキル
必要な情報を入手したり、監査結果の情報を的確に伝えたりするには、コミュニケーションのスキルが不可欠。 文章を書くスキル 報告書の内容が正確で、あいまいさがなく、かつ相手企業や現場の担当者のためになる記述が求められる。

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