プロジェクトマネジメント
チームに与えられた目標を達成するために、人材・資金・設備・物資・スケジュールなどをバランスよく調整し、全体の進捗状況を管理する手法のことです。
システム構築やソフト開発のプロジェクトを効率的に管理する手法として紹介され、普及してきました。
それではIT業界のプロジェクトマネジメントの仕事について説明します。
プロジェクトマネジャー(PM)の仕事
プロジェクトを成功するように管理する仕事
プロジェクトマネジャーは、あらかじめ設定された「品質」「コスト」「納期」を守りつつ、プロジェクトを成功に導くための責任者です。計画や進捗管理、品質管理はもちろん、メンバーのモチベーション向上や人材育成にも目を配ります。 ただし、プロジェクトには必ずといっていいほど想定外の事態が起こります。計画通りに作業が進まないことは日常茶飯事です。
最近の調査によると、当初の計画通りに完了した「成功プロジェクト」は全体の3割にすぎません。 このため、プロジェクトマネジャーには、常に変化する状況を把握して、的確に対処できる能力が求められます。場合によっては、関係者と合意の上で、スケジュール変更や開発対象の絞り込みなどを行うこともあります。
最近は、プロジェクトに潜むリスクに先手を打つ「リスクマネジメント」や、プロジェクトマネジャーを組織的に支援する「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)」が注目されています。
必要なスキル
・コミュニケーションスキル
「依頼」「交渉」「調整」といった仕事が多いプロジェクトマネジャーには必須。メンバーのモチベーションを維持・向上するためにも不可欠。
・リーダーシップ
チームワークが成功の基礎となる。リーダーシップを発揮してメンバーをまとめなければならない。
・問題解決力
品質・コスト・納期に悪影響を及ぼす問題が日々発生する。これらが大きくならないうちに、一つずつ確実に解決していく力が求められる。
プロダクトマネジャーの仕事
パッケージソフトの総責任者
プロダクトマネジャーとは、パッケージソフト製品の開発総責任者のことです。製品の新機能などを企画し、開発チームを指揮して製品を開発します。管理業務だけでなく、ユーザーのもとに出向いて要望を直接聞くことも多いです。また、導入を検討中のユーザーに対して開発予定の機能を説明するなど、セールスサポートも重要な役割としてあります。
必要なスキル・ 広い視野と先を見通す力
エンジニアは新しい技術に興味を持ちがち。しかしソフトウエア製品として長く売り続けるには、息の長い技術を取り入れていかなければならない。 実際に使う人の立場を思いやる心 専門的な会計システムなどでも実際に使うのはオペレーター。ユーザーインタフェースなど、使う人の立場に立って開発しなければ使いにくいシステムになる。
・
決断力
ユーザーの要望のすべてに応えることはなかなか難しい。機能拡張の際などは、何が大切で、どのような優先順位を付けて開発していくかを決断しなければいけない。
PMOスタッフの仕事
プロジェクトを推進する仕事
最近のプロジェクトマネジメントは、プロジェクトマネジャーの個人的な資質のみに頼らず、全社で組織的に支援することを目指しています。PMOは、まさにこの活動を推進するための組織です。
ただし、PMOの実務面ではさまざまな解釈があります。(1)プロジェクトの外側からプロジェクトマネジャーを支援する、(2)プロジェクトの内部でプロジェクトマネジメントの実務を支援する、(3)システム開発案件を受注する際にプロジェクトのリスクを審査する――などです。
必要なスキル
・プロジェクトマネジャーの経験
プロジェクトに潜むリスクを見極めるには、システム開発やプロジェクトマネジャーの実務経験とそれらに基づく洞察力が不可欠。
・リスクマネジメントの知識
リスクを的確に読んで事前に対処策を立てるには、リスクマネジメントやソフトウエアエンジニアリングの専門的な知識が必要。
・コミュニケーションスキル
相手にとって「嫌な話」でも指摘しなければならない。なおかつ、相手を怒らせず、説得できなければならない。
品質保証エンジニアの仕事
製品の品質を保つ仕事
製品が一定の品質を満たしていることを保証する品質保証(QA:Quality Assurance)は、モノ作りには欠かせない大切な工程です。このQAを担当するのが、品質保証(QA)エンジニアです。
システム開発でも、QAはとても重要な工程です。これを怠ると、納入後の不具合につながりやすくなります。主な品質保証活動としては、ソフトウエアテスト、見積もり書や要件定義書、設計書、ソースコードのレビューなどがあります。
必要なスキル
・検査知識
ドキュメントやプログラムを評価するための検査知識は必須。検査知識は仕事を通じてOJTで身に付けられる。
・業務知識
販売や人事、財務といった業務知識は、開発メンバーと同レベルの知識が必要。業務知識は仕事を通じてOJTで身に付けられる。
・技術知識
必須ではないが、あったほうがいい。業務知識と検査知識だけで、覚えることが山のようにあるので、技術知識を学ぶ暇はなかなかありません。できればこの仕事に就く前に身に付けた方がいい。
・コミュニケーションスキル
リーダーになると、プロジェクトマネジャーとの折衝が増えるため、交渉力などのコミュニケーションスキルが必要になる。