セールス&マーケティング
どんなに素晴らしい技術があっても、どんなに素晴らしい製品を開発しても、それを知ってもらわなければ意味はありません。
この製品を知ってもらい買いたいという気持ちにさせる仕組みを作るのがマーケティングです。そして買いたいという気持ちをもったお客様に直接会い、買いたいという製品の詳細を説明し課題を解決できる具体的な提案を行うのがセールスです。
それではIT業界のセールス&マーケティングの仕事について説明します。
マーケターの仕事
製品を売るための仕組みを作る仕事
IT業界におけるマーケターとは、製品やサービスを顧客と結びつける“仕組み”を用意する職種です。顧客が求めるソリューションを把握または推定し地域や顧客ごとに異なる製品/サービスのメリットを常に確認します。
また販売実績や顧客の声などを分析し、販売手法の改善や開発への要望、他社と連携して商品を管理するSCM(Supply Chain Management)の修正といったフィードバックを行います。
主な業務内容は、訴求方法の確立、価格付け、市場や販売データの分析、販売店との折衝、社内外の問い合わせに対する返答と多様です。他部門と協力して実施する業務としては、広報・取材対応、営業支援などがあります。
必要なスキル
・コミュニケーションスキル
情報収集、製品/サービスへの改善要求を関係部門との折衝の中で進めるのに必須。
・マーケティングの基礎理論
経営学者Philip Kotler氏の著作は必読。
・文章、コピー作成力
カタログなどの資料で製品/サービスを訴求する武器になる。
製品/サービスへの技術的理解
担当製品/サービスをかみ砕いて説明するために必要。
バイヤーの仕事
海外メーカーと交渉して契約を締結する仕事
海外の有望製品を発掘し、日本での市場性を調査し、ビジネスになると判断すれば、提供メーカーと交渉して代理店契約を締結します。場合によっては、国内販売のパートナー企業の開拓と情報提供、販売後のサポートまで担当します。IT製品は専門性が高いため、専門商社や電機メーカーが代理店販売を担当するケースも多いです。
競争が激しい中、有望な海外製品をいかに早く発掘して交渉に持ち込むためには、現地のキーパーソンとのネットワーク作りが重要な鍵になります。
必要なスキル・ 好奇心が旺盛であること
自分の専門や得意分野に固執せず、広い視野で新しい技術や製品に注目していく必要がある。
・外国人とのコミュニケーションスキル
外国人とのビジネスの成功は円滑な人間関係に負うところが大きい。
思い切りのよさ
未知の製品を契約する際には常に不安がつきまとう。そこを乗り切る勇気が必要。
デベロッパーリレーションの仕事
自社製品を使う開発者をサポートする仕事
ソフトウエアの開発者を支援するのが仕事です。開発ツールベンダーに勤務する場合は、自社が提供する統合開発環境や開発工程管理ツールなどを使う開発者(ソフトウエア開発会社)をサポートします。
扱うツールのカバー範囲などにもよりますが、大きなところでは、開発プロジェクトの改善提案までもカバーします。また、ハードウエアやOSのような基本ソフト、アプリケーションソフトなどを提供する会社では、自社の製品と一緒に使うソフトの開発者を支援します。
必要なスキル
・コミュニケーションスキル
顧客の要望を把握したり、顧客を説得したりするために必要。
・経験と知識
業務視点や技術パターンの種類を増やせば提案の幅が広がる。
・常に革新をする柔軟性
成功例にしがみつかずに、より良い案を提案するのに必要。
エバンジェリストの仕事
新技術をいち早く世間に広める仕事
エバンジェリストは、IT業界で次々と登場する様々な新技術をその利用者に広く伝える仕事です。一般にソフトウエアのメーカーやベンダーに所属しながら、勤務する会社の技術を伝え、将来のビジネスに結びつけていきます。
伝える場はWebサイト、技術者向けイベントでの講演、雑誌や書籍の執筆などです。新技術をいち早く理解し活用する技術者としてのスキルと表現力の両方が要求されます。
必要なスキル
・
技術に対する興味
新技術を理解するスピード、深さがすべての原動力。技術を理解し利用するまでの興味が必要。
・表現力
自分が理解していることを端的な短い言葉で伝えるスキルが重要となる。
英語
最低限でも読解能力は必要。もちろん話せたほうがよい。
ソリューションセールスの仕事
ストーリーを語り実現できる営業職
ソリューションセールスとは、柔軟性の高い提案型の営業ができる営業職を指します。顧客の声を既定の提案に当てはめるような形ではなく、顧客の要望や潜在的なニーズを聞き取ったうえで、それを出発点に問題の所在や解決策について仮説・検証を行い、必要なIT製品/サービス/人材を調達して、現実的な解決策を顧客に提示します。そのようなスキルを持つ営業職のことを指す。「コンサル営業」もほぼ同様の意味で使われます。
IT業界での営業職の一つの理想です。実際に「ソリューションセールス」という職種を設定して名刺に印刷している企業はあまりありません。しかし、営業パーソンを育成していくうえでの目標として、ソリューションセールスを挙げる企業は多いです。
必要なスキル
・
論理的思考能力
適切な提案を作るために、多くの仮説を立て、検証方法を探り、検証を繰り返して提案内容に反映させる。そのための論理的思考能力が求められる。
・顧客の業種・業界に関する知識
顧客が抱える問題を理解するために、その業種・業界の特性や現状、顧客の競合企業などを知っている必要がある。
・ITやIT業界に関する知識
問題解決に必要なITを提案するには、当たり前ながらITの知識は欠かせない。細かな製品技術よりも、ITでどんなことができるのか、常に情報収集することが重要である。
パートナーセールスの仕事
顧客企業と同様に重要なパートナーを支援する仕事
日本で企業がIT関連製品を調達する場合、ハード/ソフトのメーカーから直接買うことは少ないです。メーカーと顧客企業の間には大抵、ディーラーやシステムインテグレータなどのいわゆる「パートナー企業」がいて、特に理由がなければ間接販売の形をとることが多いいためです。これは日本のIT市場における大きな特徴です。
パートナー企業はメーカーにとって、顧客企業と同様に重要な存在です。だからメーカーは必ず「パートナーセールス」を置いているいます。「チャネル営業」と言われることもあります。
必要なスキル
・有限実行
営業として約束したことは、個人の約束ではなく企業としての約束なので「責任重大」。細かいことでも必ず守る。
・スピード感
ネタを見つければ即客先へ。担当先で面識のない人に会ったら即名刺交換。問い合わせには何よりも優先して対応。とにかく、パートナーのビジネスがスムーズに回るよう、スピード感を持って動くことが重要。
セールスエンジニアの仕事
技術職のスキルを生かす営業
IT業界では技術職から営業職に転身する例が少なくありません。セールスエンジニアの典型と言えます。 逆に、職種上は技術者ですが、営業予算の中で活動したり、営業ノルマを課されたりしているケースもあります。
例えば、一部のソフトベンダーでは、営業部門にプリセールス専門のSE(システムエンジニア)がおり、営業活動の一環として、導入前検証などを支援してます。こうした人たちもセールスエンジニアに含まれます。
必要なスキル
・
構築・運用の経験
SEやプログラマとしての経験
ベテランである必要はないが、システム構築や運用の工程がどのように進むか、どこに落とし穴があるか、を把握できるだけの経験が必要。
・強いユーザー志向
技術的には一見無理に思える要望でも、ユーザーの視点を持って、技術以外の方策も動員して解決法を探る姿勢が必要。